倉知淳は、最初に読んだのが「星降り山荘の殺人」で、当時本格(と、言うか新本格)一辺倒だったわしには全然面白く無かった。しかし、数年後猫丸先輩のシリーズ「日曜の夜は出たくない」を読んで倉知の評価は変わった。
猫丸先輩のシリーズには、血なまぐさい殺人鬼なんて出てこないどころか、殺人だって滅多に起きない。飄々とした童顔の猫丸が、バイト先で起きたちょっとした事件(失せ物探しとか)を得意満面に解決するのである。
また、もう1つの特徴が事件現場がどれもばかばかしいくらい変な状況のことが多いところだろう。この本だと、「ペットフード会社主催の猫コンクール会場」「新薬実験のバイトのクリニック」「謎の珍獣探しのバイト中」「ショッピングセンター屋上のヒーローショー会場」「秘密の松茸群生地での松茸狩りツアー」と、どれも普通(?)の推理小説じゃ使われないような場所ばかり。事件はどれも失せ物探しで、作中で猫丸以外の登場人物が、的外れな推理を披露したところを猫丸がひっくり返す。オチはどれも納得は出来るが、目の付け所がちょっと変わっていて最初はなかなか気が付かない。
あえてジャンル分けするならば「ユーモアミステリー」とでも言うのだろうが?このユーモア感覚は、倉知淳独特って気もする。よって、本格系の推理小説だと思って読むとがっかりするが、先入観なしで読めば面白い(^^)シャーロック・ホームズとかに近い雰囲気とも言えるかなー?